新たに当事務所で執務することになった山下陽平と申します。
私が大学生だった時分は折しも法科大学院が設立されたころで弁護士の仕事が社会的に大きくクローズアップされていたこともあり、また、仲のいい友人らが法曹を目指して切磋琢磨していたことにも触発されるかたちで、弁護士に興味を抱き、世の中の紛争を法的な観点から解決できるという弁護士の仕事内容に魅了されました。その後、勉強仲間にも恵まれ、いろいろあって今に至ります。
法的な紛争に巻き込まれることは、当事者にとって、とても不安な状況です。時には、その不安な状況に家族も巻き込まれて、家族全員が苦しい時間を過ごすこととなります。弁護士として紛争に関与する中で、依頼者やその家族の不安な状況を打破し、人生が輝き出す瞬間に立ち会えることは弁護士としての喜びの一つです。
弁護士登録以後、交通事故、相続問題、離婚問題など個人が巻き込まれる様々な案件を行ってきましたが、特に印象に残っているのは、国外への退去を強制する命令が発令された不法滞在の外国人の退去強制令書発令処分の取消訴訟です。
国外退去が強制されれば幼子を含む家族がばらばらになってしまうことは必至という状況の中で、依頼者にとっては妻の連れ子にあたる日本人との間の子供の存在等を粘り強く主張したところ、名古屋地方裁判所で退去強制令書の発布を取り消す判決を得ることができました。この判決は、新聞等でも報道され、私自身反響に驚きましたが(テレビの取材依頼もあったんですよ、受けませんでしたけど)、なにより、2年近く一緒に打合せを重ね、訴訟を行った依頼者とその家族が離ればなれになることなく日本で生活を続けられることがうれしかったです。
諸般の事情で、自信を失ったり、やりきれない気持ちになることもありますが、そんなときはこの判決を読み返しています。そのおかげか、落ち込んだりもするけれど、私は元気です。
その他、現在私が力を入れているのは、アスベスト・じん肺の被害救済です。アスベストに暴露による被害は甚大で死に至ることもあります。少しでも多くの方が救済を受けられるよう被害救済を目的とする弁護団にも加入しています。
また、今後、勉強を進めようと思っているのは、町並み保存に弁護士として関わっていくことです。
少々長くなってきたので、このあたりについては追って触れていきたいと思っています。