1 はじめに
今回は,個人の破産の概要をご説明します。
2 破産手続と免責手続
破産は,簡単に言えば,プラスの財産を超えて借金をしてしまい,借金を返済できなくなった個人が,裁判所で借金を整理してもらう手続です。
法律的には破産手続と免責手続の2本の手続から成り立っています。
破産手続を簡単にいうと,個人のプラスの財産がいくらあり,借金(債務)がいくらあるかを明確にし,借金が支払いきれないということを裁判所に伝えることです。また,個人の財産で現金化されるべきものがあれば,破産手続の中で現金化されることになり,現金が相当額になれば債権者に一定額が配当されることになります。
そのうえで,裁判所の権限で支払いきれない借金をゼロにしてもらう(=免責をうける)ことが免責手続ということになります。
もっとも,借金を作った理由が極めて悪質である場合などは,破産手続はしたけれど,免責手続で免責が認められないこともありえます。
3 自由財産
個人の場合,破産後も生活を続けていく必要がありますので,破産後も手元に99万円程度の財産を残しておけます(これを自由財産といいます。)。破産手続きにより何もかもを取り上げられて手元に何も無くなると勘違いされている方もいますが,そういうことは基本的にありません。
4 破産の種類
破産の中でも手続の重さによって,3種類の手続があります。
まず,同時廃止事件(略して同廃(どうはい)事件)という一番簡便な手続があります。
この同廃事件は,現金化すべき財産が特に無く,原則として免責を認めることができないと法律で定められている事情(免責不許可事由)が無い場合の手続です。
次に,現金化すべき財産がある場合や,免責不許可事由がある場合には,管財(かんざい)事件という重い手続が選ばれることになります。
管財事件というのは,裁判所が,財産の現金化や,免責不許可事由があっても免責を与えて良いか否かの判断をするために,弁護士を破産管財人に選任して現金化等をさせる手続です。破産管財人の費用は破産手続を申し立てた個人が負担することになるため,破産するために裁判所に40万円以上の現金を納める必要が出てきます。この点が,破産をするにもお金がかかると言われる理由です。
もっとも,管財事件の中でも,破産の申立を弁護士が代理し,一定の条件を満たしたものについては,20万円程度の少額を管財費用として裁判所に納めるだけで良い場合もあります。
5 破産とブラックリスト
破産をするということは経済的な信用がなくなるということです。従って,お金を借りようと思っても,信用情報機関(簡単にいえばブラックリスト)に破産したという事実が登録されますので,一定期間はお金を借りることはできなくなります。
これが破産をした場合の最大のデメリットになりますが,借金の返済で苦しんでいるよりも破産を選択した方が良い場合も多いです。
借金でお困りの方や破産するかどうかで悩んでいる方は,名古屋駅前の法律事務所,名駅総合法律事務所までご相談ください。