育児・介護休業に関する制度が変わります 2016年 12月 28日

1 育児・介護休業に関する制度の変更

  妊娠・出産・育児期や家族の介護が必要な時期に、男女ともに離職することなく働き続けることができるよう、仕事と家庭が両立できる社会の実現を目指し、雇用環境を整備するという目的のもと、平成29年1月1日から、育児・介護休業に関する制度が変わります。

2 主な変更点

  主な変更点は以下のとおりです。

  ※わかりやすくするため、説明を簡略しています。正確な条件などは、個別に専門家にご確認ください。

()仕事と育児の両立支援制度の見直し

ア 子の看護休暇が半日単位で取れるようになりました

  労働者は、小学校就学前の子どもが病気やけがをした際、あるいは予防接種や健康診断を受けさせるための休暇(看護休暇)を年5日取ることができます。

  この休暇の取り方について、現在は、1日単位で取得することとされていますが、変更後は、半日単位で取得できるようになります。

 例)子の予防接種のために午前中のみ会社を休んで午後から出社したい

   →従前は、看護休暇1日分とされるのに対し、変更後は半日分とすることができる。

イ いわゆる契約社員などの有期契約労働者が育児休業を取りやすくなりました

  いわゆる契約社員など期間を定めて雇用される労働者(有期契約労働者)について、育児休業を取れる条件が以下のように変わりました。

(変更前)

 ①現在の事業主(会社)に引き続き雇用された期間が過去1年以上であること

 ②子が1歳になったとき以降も雇用継続の見込みがあること

 ③子が2歳になるまでの間に更新されないことが明らかでないこと

(変更後)

 ①現在の事業主(会社)に引き続き雇用された期間が過去1年以上であること

 ②子が1歳6か月になるまでの間に、その労働契約(契約が更新される場合は、更新後のもの)が満了することが明らかでないこと

 その他、育児休業等の対象となる子の範囲が広くなりました。

()仕事と介護の両立支援制度の見直し

ア 介護休業を分割して取れるようになりました

  介護休業とは、労働者が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護するための休業のことをいいます。

  この介護休業について、従前は、対象家族1人について、原則1回限り、93日まで取得可能でした。これに対し、変更後は、対象家族1人について、通算93日まで、3回を上限として分割取得が可能となりました。

イ 介護休暇を半日単位で取得できるようになりました。

  要介護状態にある家族の介護その他の世話を行う労働者は、1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護その他の世話を行うための休暇(介護休暇)を取ることが可能です。

  この介護休暇について、従前は、1日単位での取得とされていましたが、変更後は半日単位での取得が可能となりました。

ウ 介護のための所定労働時間の短縮措置等を介護休業と別に利用できるようになりました。

  事業主(会社)は、要介護状態にある家族の介護をする労働者に対して、対象家族1人につき、以下のうちいずれかの措置を選択して講じなければならないとされています(選択的措置義務)。

 ①所定労働時間の短縮措置

 ②フレックスタイム制度

 ③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ

 ④労働者が利用する介護サービス費用の助成その他これに準じる制度

  従前は、こうした措置について、介護休業と通算して93日の範囲内で利用可能とされていました。これに対し、変更後は、介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能になりました。

エ 介護のための所定外労働の制限(残業の免除)の制度が新たに出来ました

  介護の必要が無くなるまでの間、残業の免除が受けられる制度が新設されました。

 その他、有期契約労働者の介護休業の取得について、育児休業と同様に条件が緩和されました。

()いわゆるマタハラ・パタハラ等の防止措置義務の新設

  従前から、妊娠・出産・育児休業・介護休業をしながら継続して働こうとしている労働者に対し、会社(事業主)が不利益の取扱いをすることは禁止されていました。

  変更後は、これに加え、上司・同僚からの、妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする嫌がらせ(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを、事業主(会社)に義務づけられました。したがって、会社としては、こうしたハラスメントが生じないよう、労働者への啓発・周知徹底、相談体制の整備等、場合によっては就業規則の見直しも含め、防止措置を取る必要があります。

3 あなたの会社は大丈夫ですか

  以上のとおり、育児・介護休業に関し、大きく法制度が変わりました。これに伴い、会社内の体制、制度も変えていく必要があります。場合によっては就業規則の見直しも必要でしょう。あなたの会社が現状のままで大丈夫か、一度、弁護士などの専門家に相談してみてください。