弁護士だけができる調査 2015年 12月 2日

弁護士は,受任している案件について必要のある場合に,弁護士法23条の2に基づいて,役所や民間企業に対し,弁護士会を通じて事実関係を照会することができます(「弁護士会照会」などと言います)。

弁護士会照会制度は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現する使命(弁護士法1条1項)を負っている弁護士が,真実の発見と公正な判断に寄与するために,法律上弁護士会に与えられた証拠収集のための制度です。

私たち名駅総合法律事務所の弁護士は全員,愛知県弁護士会に所属していますので,愛知県弁護士会を通じて,様々な役所や会社などに照会をすることができます。

照会を受けた役所や会社などは,基本的に照会に回答する義務があります。

弁護士会照会でできることの代表例は,以下のようなものです。

 

【預金口座の調査】

裁判や調停などで決まったことを相手方が守らないので,相手方の財産を差し押さえたい場合,基本的には相手方の預金口座がある金融機関の支店名まで特定しないと差押えができません。しかし,どこの支店に相手方の預金口座があるのかが分からないという場合があります。

最近では,確定判決や調停調書があれば,各金融機関の本店に相手方の預金口座の有無を弁護士会照会することで,どこの支店に預金口座があるかを回答してくれることが多くなってきました。

弁護士会照会に対する回答で支店名を把握できれば,相手方の預金口座を差し押さえて,裁判や調停などで決まったことを強制的に実現できるようになります。

 

【相手方の所在の調査】

相手方の行方が分からない場合,裁判所から相手方に書類を送ることができませんので,当然には裁判所の行う手続を進めることができません。しかし,携帯電話の番号が分かっていれば,携帯電話会社にもよりますが,相手方が利用している携帯電話の番号で登録されている住所などの情報を弁護士会照会によって携帯電話会社から入手できることがあります。

相手方の所在を把握できれば,裁判をするなどの対応をとることが容易になります。また,相手方の所在が把握できないという結論になった場合でも,弁護士会照会をしても相手方の所在が判明しなかったことを裁判所に伝えれば,公示送達などの手続きとって裁判を進められる可能性が高くなります。

 

【保険などの調査】

例えば,被相続人が突然亡くなり,その相続人になったけれど,生前あまり交流がなかったため,どういった財産を被相続人が残したのか分からないということがあります。

こういった場合でも,弁護士会照会を利用して,生命保険協会に照会することで被相続人の加入していた生命保険の有無や内容を把握することができます。

被相続人の立場からすると,被相続人の残した預貯金は比較的把握しやすいのですが,被相続人の加入していた生命保険は把握が困難なことがあり,その結果遺産分割の対象から漏れてしまうことがあり得ます。しかし,弁護士会照会をすることによって,遺産分割などの際に,被相続人の加入していた生命保険が漏れることを防止することができます。

 

弁護士に依頼するとどういったことができるのか分からないため依頼を躊躇する方もいらっしゃると思いますが,弁護士として依頼者の方のためにやれることは上記の弁護士会照会にとどまらず様々なものがあります。

様々なことでお困りの方は,名古屋駅前の弁護士事務所,名駅総合法律事務所までご相談ください。

 

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